それを気にするふうもなく、空は二人の間に割って入った。
「光邦、可哀想。だから、もう…ダメ」
これは、なんていうか。
空、イケメンだ。
「おお、くー勇者だね〜」
「…や、単に空気読めないだけじゃね?」
コソコソ話す二人は置いておいて。
光邦が感動の眼差しで空を見たかと思えば、勢いのままに空に抱きついた。
「そ、そーらぁあぁぁっ!!俺、お前んなら抱けるわ…!」
「……ん」
そのまま半泣き状態の光邦に連れ去られた空は、 置き土産に飴玉を落としていった。
包み紙に覆われたそれを拾い上げる。
レモン味…?
照明に透けて見えた淡い黄色に確信して、転校生に走り寄る。
「これ、あげる」
「……は?」
意味が分からないという顔で飴玉と私を交互に見やり、困った様子。
そんな彼女の手を引っつかんで掌にコロリとのせた。

