5人の王子とお姫様!




「べ、別に……いいもん…」


ふいっと顔を逸らすと、小さな舌打ちが聞こえた。


そして、楓斗は最終手段に出た。



「今行かねーと聖に頼んで今度から山椒ご飯ナシにしてもらう」


「……山椒ブームは終わった」


一言返すと、楓斗はまたチッ…と、ここ最近何度目かの舌打ちを漏らした。



「それに、自分で作れるから。好きなもの、全部」


「それは無理なんじゃないかなあ」


「台所は聖の絶対領域やしな。俺らが冷蔵庫の卵割っただけで鍋飛んで来よったし」


ニタァー…


……なんて薄気味悪い笑みを貼り付けるのだろう、この人たちは。



何でここにいたらいけないのか、分からない。


もっと遊んでたいのに…。


精一杯の抵抗を示すも、また強い力で引っ張り上げられた。



手首をグイグイ掴まれて、玄関まで引っ張られていく。