「それにしてはあまりにも物騒だったけれど」
「聖、ダメ」
まだ何か言いたげな聖にストップを出す。
これ以上はオタクくんが可哀想だ。
精一杯、聖を牽制する私に当の本人はため息をついた。
「……分かった。もう何も聞かないよ。それでいい?天音ちゃん」
「ん、それでいい」
比較的揉め事が嫌いな私は、それに同意した。
何より、真っ直ぐに気持ちを伝えてくれたオタクくんには、怒りも何も湧いてこなくて。
これっきりで丸く収まるなら、それが一番いい。
「じゃあ行くぞ」
「え……ちょっ…」
グイッと腕を引っ張られて立ち上がる。
もっと遊びたいのに…。
その名残惜しさから、掴む手を払おうとした。
けど、それよりも先に楓斗が先手を打つ。
「もう名前で呼んでやんねーよ?」
なんて言ってくるから、その顔を思いっきり睨んでやる。
そういう言い方、ずるい。

