そんな琉羽と光邦のあとに、深いため息を吐いた聖。
一人だけまだピリピリした空気をまとってる。
「でも、彼には聞かないといけないことがあるよね?」
「……まあ、そうだな」
聖の言葉に少し考えたのち、同意する楓斗。
聞かないといけないこと…?
「どうして天音ちゃんを連れ去ったのか」
「そ、それは……」
言い淀むオタクくんは、少しだけ頰を赤らめた。
「その…好きが、溢れてしまって……」
「何やそれ。不器用か」
ズバッと光邦の言葉がオタクくんに突き刺さる。
「あとは、どうしてあんな不穏な手紙を送っていたのか、だね」
「……う、羨ましくて。ぼ、僕も仲良くしたかったけど、話しかけるタイミングがなかった、から…。
だって、柳瀬さんはいつも、誰かしらと一緒にいるから…‥は、話しかけられなくて……」
なるほど。
正直な気持ちをしたためた結果、あの手紙の内容になるのか…。
私自身、ようやく気付いた。
オタクくんは、ピュアなだけなんだと。

