「光邦、喧嘩はダメだよ。本命はそっちじゃないんだ」
「……聖…」
「み、観下……?模範生のお前まで…。一体、これは…」
聖の言葉で多少冷静になった。
そのまま、呆然とする先生を置いて、また走り出す。
「……今見た感じじゃいなかったみたいだけど、進展はあった?」
「琉羽……ま、一応やけど」
あった、とも言える。
何しろもう、大方予想はついとるからな。
「わざわざ連絡までよこして学校休んだんや。校舎にいるなんて誰が思うか?」
「うーん……って、いうことは?」
「寮だろ」
呆れるような楓斗は落ち着いている。
なんや、もうちぃっと焦ってるかと思ったんに。
いつの間にか先を走る空が見える。
なんや、えらい本気やし。
そんなに大事なんかな、天音のこと……。
あいつも変わりおった。
ふっと笑いながら、急いであとを追った。

