5人の王子とお姫様!




ただの口喧嘩、があらぬ方向へ向かったところで……



「はい、そこまで」


お馴染み、お兄ちゃん兼世話係の聖が間に入った。


え、どこから湧いて……と驚きつつも、この場を収めてくれるとホッとした……のも束の間。



「2人ともみっともないから…ね」


「せやけどっ…!」


「でも楓斗、僕からも一言」


光邦の言葉を遮ってまで発した聖は、にっこり笑顔で言い放った。


「それはフェアじゃないんじゃないかな」


やっぱり笑顔が黒い。


最近の聖はこんなのばっかり。



そうだった、聖もある意味では普通という感覚が分からない人だった。


常識を少なからず持っているはずの楓斗も期待できない。


発端の元凶であるキレたこの人に、この乱闘を止めることは不可能…。



「全く、どこに行ったかと思えば、そうじゃないかと思ったよ」


「……ん」



淡々と言葉を紡いで事を荒立たせる聖に便乗するのは、気配のなかった空で。