首を傾げて待つこと数秒。
しばらくして、楓斗がおずおずと口を開いた。
「俺、女が嫌いなんだけど…」
「……ん?うん、そう…だね…?」
今更過ぎる言葉に、楓斗の意図がますます分からなくなってくる。
そんなこと、知っていると言いたかった。
わざわざそんな、分かり切ったことを言うためにここに連れ込んだなら、内容自体に生産性がない。
「それがなに?」
焦る必要がなくなったからか、少し勝気な心持ちでその顔を見上げれば、どこか不機嫌顔の楓斗。
お、何だやるか、と半ば力むと……
両肩をガッと力強く掴まれて、一瞬動きが鈍った。
「っ…だから、俺は……っ」
ガラッ…――
何かを言おうとした楓斗の言葉を遮ったのは、再度開いたドアの音。
それと。
「くぉーらジブン!何やっとんじゃあ!!」
よく聞き慣れた関西弁。

