「……これ、拉致っていうの…?」
「ちげーし」
一応冗談を言ったつもりだったけど、どうも伝わらなかったらしい。
まあ、こうして連れ込まれるのも2回目だからそこまでの驚きはない。
ここに連れ込んだ張本人、楓斗を見る。
どうやら、朝の件で相当疑われてるらしい。
楓斗は感が鋭いから、隠すのにも苦労する。
さて、どうやって誤魔化そう。
そんなことを考えつつ、何も言わない楓斗を見つめる。
「……」
「……」
無言の時間が長過ぎる。
ええっと……どうしたらいい…?
私から声をかけるべき…?
無言の時間が続くほど、背中には嫌な汗が流れる。
「……疑ってる…?」
「ああ」
間を置かず帰ってきた言葉に意外にもショックを受ける。
「ええっと……別に何も隠してないよ?」
「別に聞くつもりなんてねーよ」

