「……じゃあ、教室行くから」
早口にそれだけ言って、2人に背を向ける。
角を曲がる寸前まで、視線を感じていた。
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その後は、いつも通りに時が過ぎる。
いつも通りに眠い目を擦りながら授業を受けて、いつも通りに琉羽と空と世間話に花を咲かせて。
気付けばお昼休み。
食堂までの道を、琉羽と空が前を歩く形で向かっていた。
まだ眠い…。
相変わらず目を擦りながら、2人の後ろをノロノロ歩いていると。
「……っ!?」
腕をいきなり掴まれた。
誰だと確認する前に、近くの空き教室に押し込まれてドアを閉められる。
息をいっぱいに吸うと、埃っぽい匂いが鼻をついた。
勢いで尻餅をついた腰を上げて、スカートをパンパンとはたく。
相手が誰か分かった上で、半ば呆れ気味にため息をついた。

