中肉中背って感じで、顔は髪で隠れて見えない。
彼の周りには誰一人寄り付かない、そんな雰囲気があった。
あの人が、本当に手紙の差出人なんだろうか。
熱烈な手紙の内容からは想像できない。
「ふーん…」
「あいつに何か用?」
「……別に。行こ、空」
なんとも言えない、どこか軽蔑するかのような視線から逃れるように顔をひそめて、目を逸らす。
空をつれて、さっさとその場を立ち去る。
「……天音…?」
「ここ……嫌い」
顔を覗き込んでくる空を見ずに、一言呟く。
新入生歓迎パーティーの時と似たような、嫌な雰囲気を全体的に感じた。
下を見て態度を変えるような、陰鬱とした、そんな感じ。
このクラスは、同じE組でもはつらつとした光邦とは真逆の印象を受けた。
来て良かったのか、どうなのか。
何だか複雑で、嫌な気持ちになった。
「天音、顔色悪いけど大丈夫?」
教室に戻ると、琉羽が心配してくれたけどなんて返せばいいか分からなくて。
琉羽が何か話している間も、いい返事ができなかった。

