5人の王子とお姫様!




読み終えて顔を上げると、既に教室の中だった。


誰もいない教室で席に着いて、もう一度内容に目を通す。



1年E組……垣太郎(かき たろう)


どこにでもありそうな平凡な名前。


人の名前を覚えるのが得意じゃない私の頭に、一瞬で記憶させる。



近いうちに覗きに行こうかな…。


そう考える私の後ろから影ができる。


振り向くと、前髪の隙間から静かに私を見下ろす空がいた。



その目が一瞬で手紙から私に移ったことで、空に読まれたことを悟った。


「……空」


「……なに」


「黙っててくれる…?」



言い訳を考えるわけでもなく、はっきりとそう言った。


届き続けた手紙のことも、それに返事を返したことも、誰にも喋ってない。


知ったら多分、みんな心配してくれるから。