「天音……」


不意に切ない声を出す空に息を飲む。


いきなりどうしたんだろう。


と、空がこっちに手を伸ばしてきた。



またいつものように抱きつかれる、と身構えたところで頰に手が添えられた。


……あれ、ちがう……?


何だろうと思っていると。



「あの、みんな天音が心配で……それで着いてきただけだから。
怒らないで、お願い。嫌いにならないで…」


かがんだ空に顔を覗き込まれて、言葉に詰まった。



優しくて、人思い。


そんな空に頼みこまれたら、甘い私が無視なんて出来るわけもなくて……



「……今回だけ」


別に怒ってはいなかったけど。


許す、とわざとむくれたように言った私に、空がほっとしたように微笑んだ。