助けを求めて唯一温和な人物に目を向けるも。
「……そんなに助けを求められても困るよ」
相変わらず困り顔で笑う聖は、いつものことだと言わんばかりに止めに入らない。
前は何だかんだ仲裁に入っていたのに、最近になってそういうこともなくなってきた。
こんな場所で騒いで周りに迷惑がかかるということに目がいかないのか、単に気にしていないだけなのか。
まあ、聖に限ってそんなことないだろうけども、相変わらず一般の常識は持ち合わせていないらしい。
だって、多分いろいろと諦めてるだけだから。
ぱっと見、一番常識がありそうなのにな…。
ベンチに置き去りにされていたコップを、何も言わずに捨てに行ってくれる聖を見ながら思った。
でも、やっぱり優しい。
こういう気遣いは健在だった。

