辛いのも、苦しいのも、私だけでいい。
お願いだから、甘やかさないで。
私を庇って、傷付かないで欲しい。
また自分が、すごく暗い顔をしてるのが分かる。
楓斗はしばらく黙って私を見つめていたけど、呆れたように眉根を寄せる。
「分かんねーな。お前は何を怖がってんだ?お前、一人で全部しょい込めるほど強くねーだろ。少しは周りに頼ってもいいんじゃねーの」
「……っダメ、なの」
周りに頼る?
ダメ、ダメ。
頼ったら、私は甘えることに慣れてしまう。
そしたら、今度はその人が傷つくかもしれない。
そしたら、私はその人が傷ついてることに気付けるの…?
「絶対、ダメ。だって、私が全部忘れちゃったら……っ」
だめ、その先は言っちゃダメ。
それを自覚したら、私は……
「私だけ忘れちゃったら、昴だけずっと辛くて苦しいままなの…っ」

