多分、海を見てるのか後ろ姿しか見えない。
楓斗が一体どんな顔をしてるのか、ここからじゃ分からない。
言われたことの意味を考えて、けどやっぱり何を言われたのか分からない。
「ここ来た時、すっげー顔暗かっただろ」
「……そんなに?」
はたから見ても分かるくらい顔に出ていたんだろうか。
「悪夢でも見たのか?」
「…っ」
ぎしり、と忘れかけていたことを思い出して、心臓が嫌な音を立てる。
当てずっぽうかもしれない。
だけど、それでも、どうしてそう思うの。
どうして分かるの。
振り返って私を見る楓斗は、無表情だった。
探っているわけでも、訝しげに眉をひそめているわけでもなく。
ただ、じっと私を見る。
「図星かよ」
マジか、と呆れたようにため息をつく楓斗。

