5人の王子とお姫様!



楓斗から少し離れて、遠くの景色を視界に入れる。


下手に楓斗に何か言うと、また怒らせるかもしれない。


茶化すとかしないけど、本人が隠そうとしてるなら……


多分、何も言わないのが正解。



だんまりする私に何を思ったのか、楓斗は頬を掻きながら、そうっと隣に並ぶ。


少し前は信じられなかった。


楓斗は私のこと、嫌いだと思ってたから。



「……海がよく見えるだろ」


「…?うん」


まさか、向こうから話を振られるとは思わなかった。


驚きつつも、素直に頷く。


前に来た時は気付かなかったけど、本当に綺麗だと思う。


夜の海なんて真っ暗で、こんなにちゃんと見えるなんて知らなかった。



「普通は月が出てても夜の海なんて真っ暗で何も見えねーんだよ。多分ここからも何も見えねーと思う」


「……え、でも…」


今、こんなにはっきり見えてる。