5人の王子とお姫様!




ぼそっと呟いた楓斗が何を考えているのかと、声をかける前に……



「……楓斗。何、して…?」


「あ?とりあえず体冷やさねーとだろ」


楓斗は天音のパーカーを脱がせていた。


晒された肌は赤らんで、上気した顔は苦しげに歪んでいる。



楓斗の顔は真剣そのもので、動じた様子はどこにもない。


俺はただ、ぼんやりその様子を眺めるばかりだった。



「おい空。飲み物となんか仰ぐもん、あと誰か連れてこい。
こいつ動かすの危険だし、少し休ませねーと。俺が見てるからそっち頼む」


「……」


「空?おい」


「……」


「っおい、突っ立ってんな!動け空!!」


「…っ」


ハッ、と我に返る。


そう、だ。天音、助ける…。


弾かれたように、背を向けて走り出す。



楓斗、冷静だった。


俺は何もできなかった、のに。