5人の王子とお姫様!




【空side】



どうしたらいいか分からなかった。


天音が苦しそうだったけど、俺は困るだけだった。



「あま、ね…っ」


咄嗟に伸ばした手は、天音に届くことはなくて。


間一髪で滑り込んだ楓斗がいなかったら、天音は誰にも支えられないまま倒れてた。


行き場のなくなった自分の手を見て、天音を抱える楓斗を見る。



「おい。おい、聞こえるか?」


暑さを凌ぐためか、岩場の影に天音をそっと下ろした楓斗は、しきりに天音に話しかけている。


「姉さん…っ」


天音の弟が必死な顔で呼びかけている。


涙ぐんで、本当に心配そう。



なんだろう、これ……。


立ち尽くしたまま、やりきれない思いが募る。


天音に何をしてあげたらいいのか。


ここに俺がいるのが酷く場違いだと思った。



「……はあ、緊急事態だしな…。つーわけで……恨むなよ」