5人の王子とお姫様!




下劣でいやらしい奴らだと思った。


最悪な気分だ。



「おい、お前ら——」


「聞くに耐えないね」


まだ色々言ってる奴らに、半ばキレ気味に口を開いた俺を遮ったのは、底冷えするような声色の聖だった。


不思議とその場によく響く、落ち着き払った声とは裏腹に、その表情はどこまでも冷たくて俺でも背筋がゾッとした。



……聖、こいつこんな顔もできるのか。



普段の柔和な態度は、単に自分が有利に立ち回るためのフェイク。


本来の聖は、何事も割り切って考える合理主義者だ。



故にこいつは、周りが思うような優男じゃない。


知っていたこと。


だけど初めて聖の本性を目の当たりにした気がした。



「いささか口が過ぎるな。君たちが天音ちゃんに何をしたのかは知らないけれど、あの子の怯えようからしてあまり穏やかじゃないようだね」


「なに、詳細でも聞きたいわけ?あんたも物好きだな。聞きたいなら教えてやろうか?」