下劣でいやらしい奴らだと思った。
最悪な気分だ。
「おい、お前ら——」
「聞くに耐えないね」
まだ色々言ってる奴らに、半ばキレ気味に口を開いた俺を遮ったのは、底冷えするような声色の聖だった。
不思議とその場によく響く、落ち着き払った声とは裏腹に、その表情はどこまでも冷たくて俺でも背筋がゾッとした。
……聖、こいつこんな顔もできるのか。
普段の柔和な態度は、単に自分が有利に立ち回るためのフェイク。
本来の聖は、何事も割り切って考える合理主義者だ。
故にこいつは、周りが思うような優男じゃない。
知っていたこと。
だけど初めて聖の本性を目の当たりにした気がした。
「いささか口が過ぎるな。君たちが天音ちゃんに何をしたのかは知らないけれど、あの子の怯えようからしてあまり穏やかじゃないようだね」
「なに、詳細でも聞きたいわけ?あんたも物好きだな。聞きたいなら教えてやろうか?」

