5人の王子とお姫様!




「!?……っ姉さん!?」


「あま、ね…っ…」



空と昴の手を荒々しく振り払って、走り出す。


昴を残して心配だとか、みんながどんな顔をしているかとか、慶太たちが色々言ってしまうかもしれないとか、気になることは一杯あったはずなのに。



ぎゅっと耳を塞ぐように、心を閉ざす。


何も聞こえない。


聞かない、聞きたくない。



『どんどん逃げろよ!ギャハハハッ!』



逃げても逃げても追いつかれる。


そんな恐怖から、昔のことを思い出して。


やっぱり私は、ずっと囚われたままなんだ。


そうして絶望した。



ただ息を乱して、精一杯に走る。


だから……



後ろから叫ぶ昴の焦った声も、空の寂しく呟かれた声も、私には届かなかった。