「!?……っ姉さん!?」
「あま、ね…っ…」
空と昴の手を荒々しく振り払って、走り出す。
昴を残して心配だとか、みんながどんな顔をしているかとか、慶太たちが色々言ってしまうかもしれないとか、気になることは一杯あったはずなのに。
ぎゅっと耳を塞ぐように、心を閉ざす。
何も聞こえない。
聞かない、聞きたくない。
『どんどん逃げろよ!ギャハハハッ!』
逃げても逃げても追いつかれる。
そんな恐怖から、昔のことを思い出して。
やっぱり私は、ずっと囚われたままなんだ。
そうして絶望した。
ただ息を乱して、精一杯に走る。
だから……
後ろから叫ぶ昴の焦った声も、空の寂しく呟かれた声も、私には届かなかった。

