やめて、言わないで。


知られたくない。


みんなに、彼らに、知られたくない。



「オモチャ…って……?」


皮肉にも聞き返された声に、豊満な胸を強調する水着に女性らしさ溢れる巻き髪ギャルの美奈江(みなえ)がニヤリと笑う。


「あっれぇ?あんたもしかして、ア・ノ・コ・ト……言ってないのぉ〜?」



もう二度と思い出したくないのに。


美奈江が示す“アノコト”に、ぴくりと肩が跳ねる。



「あーあ。ほーんとあんたってさ、つまんない奴だったよねぇ」


「全然しゃべんないし、何したって表情を変えやしない。だから人形って言われんだよな」


美奈江に賛同するのは、鋭い目つきと男っぽい口調の金髪ショートの加菜(かな)。



中学時代、素行が悪いことで知られていた2人だ。



そして……



「あっ、慶太(けいた)ぁ〜!こっちこっち!面白いもの見れるよぉ〜?」