いくら私が疲れた、面倒くさいって思っても汲んでくれる人がいないのも事実で。
それ以前に気付かれないことのほうが多い。
だから最終的に諦めると、いつの間にか流れに乗っているのだ。
こういうイベント事に関して、誰よりも強い決定権を持つ琉羽と光邦。
いつもは一蹴されて終わりのくせに、執念って怖い。
それにしても……
「なんで、海?」
別にどこに行くとかどうでもいいけど、他になかったのか。
「実はね、明後日お父さんが日本に帰ってくるのよ」
「……え、お父さん…?」
「えー…父さんが…?」
お母さんの言葉に、私と昴は似たような反応を返す。
後ろで「おおー」と珍しいものを見たと言わんばかりの若干2名は放置。
帰ってくる。
常に海外を飛び回って滅多に家に帰ってこない、エリートビジネスマンの父が。

