そこで、一人掛けに座るお母さんがカップを置いて突然の宣言をした。
「海、行きましょ」
……うん、慣れた。
お母さんの暴走は今に始まったことじゃないから。
過去にも思った心の声を反芻する。
今までもいろんな前例があるからさほど驚かない。
いつものことだと割り切って、平然と飲み物を啜る私と昴。
「はいはーい!僕行きたい!」
フリーズする面々を押し退けて真っ先に挙手したのは、お祭り大好き、騒がし要因の片割れ・琉羽。
言うと思った。
大抵、琉羽が乗り気になると場の空気が流される傾向にある。
「俺も賛成!海なんて滅多に行かへんしなぁ」
まずは光邦がそれに乗っかって。
「も、何でもいい……」
楓斗は疲れたように投げ出すか、抵抗して敵わないかの二択。
聖と空は基本その意向に従う。
……というのが主な流れだけど。
今回も見事その通りの結果になった。

