さすが、兄らしい。
私でも知ってるような有名なお店のお菓子を提げてきて、振る舞いも文句なし。
と同時に、はっとした。
いけない、とお母さんを盗み見る。
「もーお、いいのよ。気にしないで!
ほら天音、しっかりしたいい青年じゃなーい!!もったいぶっちゃって、もう!」
言いながら、バシッと背中を叩かれてよろける。
案の定の大興奮に、返す言葉もない。
……お母さん、力強すぎる。
その後、リビングでお母さん日課のお茶会タイム。
今日は上等の、香りの良いダージリン。
聖の手土産と、お母さんが作った本人ご満悦のマドレーヌがテーブルに並ぶ。
……美味しい。
聖が持ってきた詰め合わせの中でもお気に入りのクッキーにかじりつきながら、紅茶をしれっと飲む皆をじいっと眺める。
味気ないのに……みんな、大人だ。
手の中のオレンジジュースが子供っぽく見える。

