「……弟だけど」
お前が誰だ、とでも言いたげな昴の反応はもっともだ。
ちょっと困惑しているらしい。
昴は繊細な心の持ち主だ。
人の機微に敏感で、すぐに胸を痛めるような優しい子。
琉羽みたいにこんなあからさまに警戒されれば、戸惑うのも当然なわけで。
……もしかしたら。
私が空に甘いのは、こういうところが昴に似ているからなのかもしれない。
昴いじめる琉羽、悪い人。
琉羽の腕から逃れながら、無言で威嚇する私の心境なんて誰も気付かない。
「姉弟言うてもそない似るもんでもないんやなぁ。でも性格ムッチャそっくりやん」
私と昴を見比べて面白そうに分析する光邦は放っておいて。
また別のところでは、代表よろしく聖がお母さんに挨拶していた。
「お招き頂きありがとうございます。
大勢で押しかけてしまい、申し訳ありません。こちら粗品ですが…」

