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頬の跡はそんなに酷いものじゃなくて、空と一緒に戻った頃にはすっかり赤みは引いていた。
そうしてゆっくり歩いていたら、思いのほか時間がかかったけど。
グラウンドは既に解散した後で、生徒のまとまりがない。
勝手に帰ってもいいのかな…。
周りを見回していると、すぐに見知った人物に出くわした。
「ひやぁあああー!!!」
悲鳴に近い叫び声は、耳慣れたその人の声。
でも……
今日のはちょっとおかしいの。
変な反応をする琉羽を不思議に思っていたら、繋がれた空の手がべりっと引き剥がされた。
手のひらの温もりが消えて、ほんの少し物寂しい…。
なんだ、と問うような視線を琉羽に向ける。
「だ、だってぇっ、くーと天音が手繋いでるんだもん!」
「それは悪いこと…?」
そんなに気にすることなのかな…。

