5人の王子とお姫様!




「……?」


「天音、泣きそうな顔してる。
ぶたれた?ここ赤い。……痛い?」


言いながら、頰にそっと触れられる。


痛くない、と首を振ると、「良かった」と空は柔らかく微笑んだ。



泣きそうな顔、なんて……変なの。


本当にもう痛くもないのに、どうして他人の空に分かるんだろう。


疑問は顔に出ていたみたいで、空は考えるように首を傾けたあと、答えてくれた。



「天音は特別、だから。分かる」



興味がないようで、実は見ている。


良かった…。


空は、やっぱり優しいいつもの空だ。



だけど。


安心すると同時に、怖くなった。


まっすぐな瞳に全てを見透かされそうな気がして。


自分の醜いところを暴かれてしまいそうで、頼ってしまいそうで。



「天音、行こ」


差し出された手をとって、コクンと頷いた。