「……?」
「天音、泣きそうな顔してる。
ぶたれた?ここ赤い。……痛い?」
言いながら、頰にそっと触れられる。
痛くない、と首を振ると、「良かった」と空は柔らかく微笑んだ。
泣きそうな顔、なんて……変なの。
本当にもう痛くもないのに、どうして他人の空に分かるんだろう。
疑問は顔に出ていたみたいで、空は考えるように首を傾けたあと、答えてくれた。
「天音は特別、だから。分かる」
興味がないようで、実は見ている。
良かった…。
空は、やっぱり優しいいつもの空だ。
だけど。
安心すると同時に、怖くなった。
まっすぐな瞳に全てを見透かされそうな気がして。
自分の醜いところを暴かれてしまいそうで、頼ってしまいそうで。
「天音、行こ」
差し出された手をとって、コクンと頷いた。

