5人の王子とお姫様!




ふと、空の視線が私に向く。


眉根がわずかに寄せられて、目がすっと細められた。



「天音に手、出した。だから嫌い」


「空く…」


「あと、あんたは大事じゃない。だから、気安く名前……呼ばないで」


「——…っ」



彼女たちは私を恨めしそうに見たあと、顔を歪めて走って行った。



残された私は、呆然。


空がいつに無く強気で、他のことは全部するりと頭から抜け落ちていた。



改めて視線を向けるけど、そこにはもう、いつもの飄々とした空がいた。


ただ何となく、ふらりと現れてそこに立っているだけ……と、そう思えてくる。



目の前で起こったことが嘘みたいで。


すごく、不思議な気分。



「……えと、ありがとう」


今のが現実かどうかは置いといて、控えめにお礼を言う。


「別に…」


答えた空と視線が交わる。


と、空のジャージの袖でグイグイと目元をこすられる。