そこにいたのは、無表情を通り越して冷めた目をした空。
「えっ…そ、空くん!!」
周りを囲む女子たちの慌てて取り繕う顔が、ひどく滑稽に見えた。
……私、性格悪い…?
「やっ、これはそのっ……ね?ち、違うの!!この女がっ…!」
言い訳にもならない言葉で無駄にまくし立てられて、挙句、指をさされる。
流石に思うところはあるけど、口を出すのも気が引けた。
「えと、あっ…あの…」
「……だれ」
「…え?」
「あんたら、だれ…?」
間の抜けた相手の女子の返しに、もう一度繰り返された心地の良いテノール。
まさか、彼女たちは気づいていないのか。
空が怒っていることに。
「俺は、あんたら……知らない」
小さく顔を傾けた空の前髪がゆったりと横に流れる。

