5人の王子とお姫様!




「もうあの方たちに近づかないで」


「……やだ」



前は失うものなんてなかったのに。


今は、それだけは嫌だと即断できた。


それだけは絶対に譲れない。



「…ッッ、調子にのんな……っ!!」



気を荒立たせてしまったらしい。


振り上げられた手のひらが、降りてくる。



夢を見ているような気分でそれを追う。


また、叩かれる。


瞬時に察知して身構えた時、パシ、と小さく音がした。



来ると思った衝撃は無くて。


一体、何が起きたんだろう。


よくよく見れば、振り上げられた彼女の手首が誰かに掴まれていた。



誰かが止めてくれた。


……助けて、くれた…?



信じられない気持ちで、その誰かに目を向ける。


驚きのあまり目を見開く。


「……なんで…」