5人の王子とお姫様!




言いたいことなんてない。


何をすれば相手が満足するのか、窺ってるだけ。



鬱憤があるなら、吐き出させれば事は収まることを私は知ってるから。


それで自分が惨めだと思うことはないし、我慢していれば終わってくれるのは逆にありがたい。


傷付かないとか、そんな訳ないけど。


そういうのは全部、今更だ。



そんな私の考え……


正確には、考えている時の私の表情は、昔から相手の神経を逆撫でして、煽ってしまうらしい。



「な、何よッ…!!」


睨んでいると思われたのかもしれない。


あ、と思ったけど間に合わなくて、頬を容赦なく叩かれた。


避ける暇もなく与えられた、じんとした痛み。



ずっと忘れていた。


久しぶりの感覚は、不相応な笑みを誘発して、呆気なく私の中に入り込んで侵食する。