言いたいことなんてない。
何をすれば相手が満足するのか、窺ってるだけ。
鬱憤があるなら、吐き出させれば事は収まることを私は知ってるから。
それで自分が惨めだと思うことはないし、我慢していれば終わってくれるのは逆にありがたい。
傷付かないとか、そんな訳ないけど。
そういうのは全部、今更だ。
そんな私の考え……
正確には、考えている時の私の表情は、昔から相手の神経を逆撫でして、煽ってしまうらしい。
「な、何よッ…!!」
睨んでいると思われたのかもしれない。
あ、と思ったけど間に合わなくて、頬を容赦なく叩かれた。
避ける暇もなく与えられた、じんとした痛み。
ずっと忘れていた。
久しぶりの感覚は、不相応な笑みを誘発して、呆気なく私の中に入り込んで侵食する。

