楓斗の手が差し入れられて、光邦がそれ以上近付くのを阻んだ。
と思えば、後ろから聖に口を塞がれて引き寄せられた。
見れば、光邦の首根っこは空に掴まれていて、それ以上の進行が阻止されている。
「ち、ええとこやったのに。ほんで、何で空まで邪魔すんねん」
「天音は、ダメ」
不満げな光邦に、ぽつりと呟いた空のこんな行動が珍しいといえば珍しい。
みんな、どうしたんだろう…。
ぼんやりと眺めていると、楓斗の声が冷ややかに飛んでくる。
「お前はバカなのか。少しは落ち着いて事を考えろよ」
「…至って冷静」
やんわりと聖の手をはがしながら、何で怒られているのかも分からないまま静かに言った。
光邦は確かにキスをしようとしていた。
けど、どうせ本当にするわけじゃないし。
矛先から見て、頰にでもしようとしていたんだろう。

