5人の王子とお姫様!




「……」


考え込む私に、影が降りてくる。


これ以上は待たないと言うように光邦の顔が近付いてくる。



「天音…」


妙に色気を含んだ声は、普段の彼と違うものを感じさせる。


一連の流れが、まるでスローモーションのように瞳に写る。



そうしている間に、かつての出来事が蘇った。




——『何したっていいだろ。どうせお前には減るもんなんて無ぇんだしよ』



どうして今、こんなことを思い出したのか分からない。


今のこの状況に、別に嫌な感じはしないけど、何故だかあの頃と重なってしまった。




固まっている間にも、光邦との距離は縮まって、あとほんの数センチのところ。


そんなところで……




「やめろ光邦」


「それ以上は流石に、ね」