『おぉーっとお!?学園きっての悪童、夏目光邦の引いたお題は……なんとなんとなんとぉー!!恋愛の“キス”だったあー!!』
と、実況が終わらないうちに、私の頭にポンと置かれた手。
振り向くとそこには、笑顔の光邦。
………え…。
まさか……
「借り物はこの子で」
……なんか、頭痛くなってきた。
混乱して無意識のうちに後退りしかけた私の頭を、今度は両手でがっちりホールドしてきた。
逃がす気は無いらしい。
……別に、逃げようとしたわけじゃないけど。
「……えーっと、聖たちは…?」
「…アホか天音。冗談言っとる顔やないで、それ。勘弁して」
嫌そうに顔を歪める光邦。
それを見て、ああ、と納得。
さっきすぐ側をうろついてたのは、偶然じゃなかったらしい。

