軽い口調で話し出す光邦を、威圧するように殺気を放つ楓斗だけど怖くない。
容姿のせい、絶対。
「楓斗のくじやけどな……」
「おい…!」
「お前は黙っとれ。もっと恥ずかしい話バラしてもええんやで」
「な、なんだよ……恥ずかしい話って」
「何やろなぁー」
意味深に含み笑いを浮かべて楓斗を黙らせた光邦は続ける。
「でな、楓斗が引いたくじが『キス』やってんけど、まあエラいことになりよったん。
持ってきて何かをするってのがルールやから何かせえへんといかんし、そしたら自分がって言う女子がめっちゃ押し寄せてな。拒んだら勝てるもんも無うなるし、女が嫌いやからって男とはできひんし」
「で?で?」
「せやから楓斗は手の甲くらいなら鳥肌たっても背に腹はかえられんってな、適当に連れてったんや。そしたらなぁ……」

