困ったように笑って事実を告げる聖に、今度は光邦がとぼける番。
そんなやり取りを横目に箸を進める。
「へぇー、そんなことがあったんだねぇ。僕その時まだ中等部だったから全然知らなかったよ」
「あー、そういや楓斗も去年借り物やったなぁー」
「ぶっ」
定食を食べる合間に水を飲んでいた楓斗にまさかの矛先が向く。
楓斗、汚ない…。
そんな視線を向けると「吹いてねーよ!」と即座に返ってきた。
というか、思い出したふうに言うけど多分……光邦、わざとだ。
琉羽と光邦の冗談に楓斗は何だかんだ本気で返すからか、よく二人の餌食になっている。
まあ、いじりたくなる気持ちも分からなくはないけど……
したいとは思わない。
「そうやそうや、思い出した。しかも聖よりおもろいエピソードやったわ」
「それ以上言ったら本気で殴るぞ」

