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「―――…まーね?ねーえ、天音」
「ん……」
「天音ったらぁ!もぉ、起きてよお!」
「…っ」
耳にキンと響く声に、一気に意識がはっきりした。
どうやら寝ていたらしい。
眠い目をこすって周りを見回す。
「あ、起きた?」
「…ん、起きた…」
「もうお昼だよー?」
「そう…」
大きく伸びをして、肘を後ろに曲げると何かにあたる感触がした。
「…?」
「くーもね、3時間目あたりから寝始めちゃったの。もぉ、一緒にお昼行きたかったのにぃっ!」
後ろの席はそういえば空だったと思い出して、机に突っ伏する頭を突っついてみる。
身じろぎひとつしない。
「お昼、食べに行こ」
耳元で、琉羽ほどの声量じゃないけど声をかけると、ぴくり。
もぞもぞ動き出して、顔を上げた。
「………行く」

