5人の王子とお姫様!




「聖。それ、返して」


「これは天音ちゃんにとって大事なもの?」


「うん、大事。すごく」



私の返しに、そっか、と呟いた聖。


特に強行することもなく手紙を丁寧に封筒に仕舞うと、私に差し出してきた。



素直にそれを受け取ろうとするけど。



「これは返すけど、少しでも危険だと思ったらすぐに言うこと」


ひらり、私の手を交わしてまた手紙を遠くにやる。



「何で?」


「何でもだよ。約束できる?」



危険の意味がよく分からなかったけど、ここで頷かないと返してもらえないと思った私は小さく頷いた。


それを聖が信じたかは分からないけど、今度こそ手紙を私に返してくれた。



もう取られないように、それを鞄の奥底に仕舞い込む。


私にしては警戒を露わにしているのを見て、聖が苦笑する。


「大丈夫、取らないよ」



ちっとも分からなかった。


何で聖がそこまで注視しているのか。