聖は、必要な時に必要な言葉をくれる、必要なことをしてくれる。
それはいつも最善で正しいけど、どこか規則的で。
例えるなら、教科書を読み込んだような回答だ。
頭が回るいい人だけど、楓斗とは似ても似つかないタイプなことは間違いない。
「んだとコラ。誰がなんだって?」
「……」
どうやら声に出ていたらしい。
やってしまった…。
そう思ってももう遅い。
こうなれば切り抜ける方法はただ一つ。
頰を不自然にヒクヒクさせる楓斗の隙をついて、逃走した。
幸い追いかけてくる様子もなくて、私は心底安堵したのだった。

