楓斗は私の声に反応しなくて、黙ってこっちを見つめてくる。
思案顔で、どうやら言いたいことがはっきりしていないらしい。
私から何かを言うこともなくて、じっと見つめ返す。
珍しく向こうから来たんだし、存分に待っていよう。
黙っているだけなら、疑問は感じても別に苦じゃない。
「……」
「……」
そうして視線を合わせ続けることに、先に耐えられなくなったのは言わずもがな楓斗だった。
「っだああ!!めんどくせー!」
突然の大声に、びくり。
な、なに……
言いかけた私の手を、いきなりぐいっと掴んでくるもんだから頭にハテナが浮かぶ。
手、触って大丈夫なのかな…。
そう思いながらも、歩き出した楓斗に黙ってついて行く。
引っ張られるまま連れられた場所は、寮に併設された共用の脱衣所だった。

