5人の王子とお姫様!




確かに、馴れ合いを好まない人も中にはいるけれど、天音ちゃんは違う。


聞けば答えてくれるし、彼女がそれを煩わしいと思うきらいはない。


ここの生活に慣れてからは、覚束無いながらも歩み寄ろうとしてくれているのは、傍目からも明らか。



口下手なだけで、人とはちゃんと話せるようだ。


だとするならば。


彼女が自分のことを人に話さないのは単に、話すことが無いからなんじゃないか。


正確にいえば、人に“話せる”ようなことが無いからなんじゃないか。



それは、昨日の件と何か関係があるんだろうか。




……なんて、考え過ぎかもしれない。


それでも、全員が全員、少なからず違和感を抱いていたんだ。



助言するつもりが、これじゃあ一向に収拾がつかないな。


苦笑したのち、頭を切り替える。


今は一度、保留にしておいたほうがいいだろう。