「だって天音、何も言ってくれないんだもん。言ってくれなきゃ、ちっとも分かんない。
無口だし、なんか変だし、ちょっと独特だからって最初は思ったよ」
……慕っているはず、なんだけれど。
案外辛辣だ。
「だけどさぁ、限度があるでしょ?好きなもの聞いたら答えてくれるけど、なんて言うのかなぁ……
んー、突っ込んだことは話さないっていうか……」
適切な言葉が思いつかないらしい。
それでも、この場の全員が理解した。
その上で、思い当たるところがあるといった顔を各々がする。
天音ちゃんは、自分のことをあまり話さない。
例えば、友達を作ろうと思った時。
交流を深めるきっかけは、過去の自分の体験談だったりする。
その場合、出身校のことを例にあげて話す人が大半だろう。
そこに周りが乗っかり、会話は広がりを見せるもの。

