聖に気圧されてか、周りはみんな自然と道を開けた。
誰も何も喋らず、騒然としていた辺りが嘘のように静まっている。
「こらぁっ!!そこ、何しとるか!!」
輪を抜け出たところで、ようやく駆けつけた先生の声が静寂を破る。
それを皮切りに、徐々に空気は緩んで、興味が失せたように人がまばらに散っていく。
聖は口を開かない。
引っ張る力は強くて、痛いくらい。
「聖、あの——」
「天音っ!!」
返ってこないかもしれない。
それでも、何か言わなきゃ、という妙な焦りから言葉を発したところで聞こえた呼び声。
ビクリと体が揺れた。
「いきなり飛び出すなんて…!大丈夫?寒くない?」
「こない濡れて……何かあったかいもんでも持ってくるか?」
私を見る琉羽と光邦が心配してくれているのは、一目でわかった。
『大丈夫』
そう言おうとしたけど、言葉は出てこない。

