先頭に出ると、主犯らしき男子生徒がテーブルに手を伸ばしているのが見えた。
並んだグラスの一つを無造作に手に取る。
満たされて中で揺れる飲料。
体が勝手に動いていた。
「一人のお前に味方なんていねぇよ」
振り上げられた手。グラスが動く。振りかざされる。
悪意たっぷりの罵声と、隠されない無慈悲な心。
視界全部がスローに見えた。
「さっさと消えろよ、クズ野郎」
前に進み出た瞬間。
バシャッ…
やけに近くで水のかかる音がした。
甘ったるい香り。
しゅわしゅわと泡立つこれは炭酸飲料なのか、ベトベトする。
現状にようやく思考が追いついた。
強張った体がまた動かない。
なんとも形容しがたい、ドロドロとした嫌な感情がせり上がって収まらない。

