「あーあ、大丈夫かなぁ?」
「どうやろな。これ、誰か助けへんとアカンやんなぁ」
耳を疑った。
琉羽も、光邦も……おかしい…。
なに言ってるの。
だって、そんな悠長なこと、言ってる場合じゃない。
途端に、さっきまで動かなかった体は動いて、簡単にいうことを聞いてくれた。
「天音……!?」
後ろから追ってくる声も聞きたくない。
近付くほどに、大きくなる喧騒。
集まる人の輪に飛び込んで、強引にかき分ける。
「え、柳瀬さん?」
「そっちは行かない方がいいよ」
さっきまで嘲りを唱えていた人が態度を変える。
わざとらしい口調、貼り付けた笑みを浮かべて、触れてこようとする。
耳障り、嘘だらけ、息が詰まる。
やだ、触らないで。
不潔で不快、下劣で不愉快。
残酷極まりない。

