恐れか、焦りか、怒りか。
漠然、惚けて何も考えられない。
……あれ。
呼吸、って……どうやるんだっけ。
分からない。
一体、“あれ”はなんだろう。
目に見える光景は、なに?
平和ボケした私に、わざわざ誰かが用意した演出か何かだろうか。
そう、そうだ。
きっとそう。そうに決まってる。
そうであって欲しい、と切に思う。
だって……絶対、おかしい。
「どないしたん?」
急に動かなくなった私の顔を覗き込んできた光邦の声は、なんとなく聞こえていた。
だけど反応できなくて、ある一点をただ見つめる。
その先には、何か探しているのか、丸くなってしゃがみこむ男の子。
と、いうのは理想だけど少し語弊がある。
正確には、足蹴にされながら、体を守るように蹲って懸命に耐えている男の子。

