用意されていた原稿を淡々と読み上げる作業。
マイクを通して聞こえる自分の声が変に思えた。
『——のため、より良い学校生活を送れるよう努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いします。
1年S組、柳瀬天音』
決まり文句のような、ありがちな台詞をまるで心のこもっていない言葉で締めくくって一礼。
これまた形式上だと言わんばかりの拍手の中で、壇上を降りた。
ぐぅう、とお腹が鳴る。
生理現象、鳴ってしまうのは仕方ない。
あー……お腹、空いたな…。
みんなの所に戻ろうかとも思ったけど、また何か巻き込まれるかもしれない。
面倒事はやだな。
そう思って、食べ物でも取ってこようかと方向転換……
しようと、したけど。
「あっまねぇっ!堂々としててすっごくカッコよかったよっ」
「お疲れさん。どや、しんどかったやろ。見るからに苦手そうやし」

