5人の王子とお姫様!




無駄に急かされたり、身なりにあれこれ言われたりして、私としては当然好ましくない。


おかげで機嫌は斜め上。


けど、美味しいものはそんな嫌な気分も全部吹き飛ばしてくれる。



幸せ、だな…。


ぽわん、と花が咲いたような、文字通りお花畑の私の思考を遮ったのは、ホール内に流れたアナウンス。



『新入生代表、柳瀬天音さん。壇上へどうぞ』



あ、そうだった…。


自分がここにいる趣旨をはたと思い出す。


私自身、目的は別にあったから忘れたままでも良かったけど、そうもいかないらしい。



ちらりと、窺うだけのつもりで視線を向けたけど、その先にいる叔母さんはがっつり私を見ていた。


壇上横で腕を組んで、無言の圧力がかけられる。


顎を軽くしゃくって見せてきた。



……上がれって言ってる。


豪勢な料理たちを名残惜しい気持ちで見やって、仕方なしに壇上へ上がる。