無駄に急かされたり、身なりにあれこれ言われたりして、私としては当然好ましくない。
おかげで機嫌は斜め上。
けど、美味しいものはそんな嫌な気分も全部吹き飛ばしてくれる。
幸せ、だな…。
ぽわん、と花が咲いたような、文字通りお花畑の私の思考を遮ったのは、ホール内に流れたアナウンス。
『新入生代表、柳瀬天音さん。壇上へどうぞ』
あ、そうだった…。
自分がここにいる趣旨をはたと思い出す。
私自身、目的は別にあったから忘れたままでも良かったけど、そうもいかないらしい。
ちらりと、窺うだけのつもりで視線を向けたけど、その先にいる叔母さんはがっつり私を見ていた。
壇上横で腕を組んで、無言の圧力がかけられる。
顎を軽くしゃくって見せてきた。
……上がれって言ってる。
豪勢な料理たちを名残惜しい気持ちで見やって、仕方なしに壇上へ上がる。

