(親友同士なのに全然違うなぁ。この二人)


爽やかで人当たりの良い市原くん。
あまり女の子と話す印象の無い控えめな二塚くん。



「うんっ。こちらこそよろしくねっ」



市原くんにこう告げて、わたしは部活に向かう二人を見送った。


二人とは出身中学が一緒だけど、同じクラスになったことが無いから、接点も無い。



初めてとも言える会話の後に、


「…………」


市原くんと並んで歩いていた二塚くんが、チラリと後ろを振り返った。


(……どうしたんだろ)


わたしと目が合うなり、すぐさま前に向き直る。


ちょっと不思議な二塚くんの反応に軽く首を捻りながら、わたしは教室へと足を向けた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「上総。ちょうど良かった」



たまたま放課後の教室に残っていたところを、担任の先生に捕まってしまった。


「保健の浅見先生が急な出張でな。悪いが保健だより綴じといてくれ」



(わたし、保健委員じゃないんだけど……)


かといって断ることも出来ず、仕方なく保健だよりを綴じることにした。