『実は、今回のペア。
俺から部長にお前と組みたいって頼んだんだ』
「え?」
なんでまた。
『中野は他の女みたいに二人で食事したいとか
面倒なこと言わないからやりやすい。』
「はぁ…なるほど。
私は男に興味ないですからね
にしても贅沢な悩み。」
なんともイケメンにしかわからない悩みを
私に言われても返しようがない。
だいたい私の実力が認められたわけじゃなかったのかと落ち込む心を隠せない
『好きって言ったて顔とか地位だけだろ』
はい。性格悪いですもんね
とは口に出すことができず、
そうですかねと流してしまった。
ただ、今までに見たことのない
切なげな表情をしていたこと
どこか寂しそうで切なそうで
今にも壊れそうなそんな感じだった。
成瀬さん…好きな人いるのかな
『まぁ、お前の頑張りは課長も認めてるし
ちょうどよかったっちゃよかったんだけどな』
ニヤッと意地悪く微笑む。
なんだ、認めてもらってないわけではなかったのか
「今後間違ってもお食事に誘わないように気をつけます」
『あぁ。そうしてくれると助かるな(笑)』
デスクに座った成瀬さんは急に仕事モードになり
さっきの表情の真意がわからないまま
パソコンに向き合った。



